6月23日(木)
当社の環境に対する意識が非常に高いというブログは何度も書いてきました。
今回は、その究極ともいえるお話をしたいと思います。
これまで紹介してきた、美化活動や省エネへの取り組み、リサイクル、リユースの活動、こうしたことは実は取り組む企業にも大きなコストメリットがあり、ある意味では取り組んで当然の話だと思います。
しかし、本当に大切なことは、仮にその取り組み内容が、コスト面で企業にとってはマイナスであっても、地球や社会、社員さんのためになるのであれば「実行」するという企業姿勢があるかどうかだと思います。
当社は社員さんの為であれば「疑わしきは罰する」「グレーは黒」という姿勢を貫き通します。
以前にも、「残業時間(当社は1分計上)、朝礼(ラジオ体操)は職務である」
残業の1分計上などは、現状の法律では極めて白に近いグレーです。
それでも当社は完全な白を目指します。
そういったお話は製造現場の中にもあります。
「ホルムアルデヒド」その発がん性が最近謳われるようになってきました。
しかし、どの程度吸うと人体に影響が出るのかは明確になっていません。
このホルムアルデヒドが、フェノール系の樹脂を燃やすと出るのです。
鋳物では、このフェノール系の樹脂を中子に使用します。
中子とは、砂に樹脂を混ぜ、コーテッドサンドを造り、その砂を金型に吹き込み、焼成して固めたものです。
この中子を使用して、鋳物の内部を中空にすることで、製品重量を軽減出来たり、加工工数を減らすことが出来ます。
つまり製造コストが下げられるのですから、鋳物工場は全て使用しているといっても過言ではありません。
この中子を砂型の中に入れ、溶湯(溶けた鉄)を流し込みます。
その折にフェノールレジンが燃えることで、ホルムアルデヒドが発生するのです。
現状では、鋳物工場におけるこの工程に規制はありません。
そして、もしも厳しい規制をこのプロセスにかけるとするなら、日本のモノづくりに、いや世界中のモノづくりにブレーキがかかるでしょう。
アスベストがそうであったように、悪いとわかっていても「必要悪」として許容されているのではないか。
そう感じてなりません。
しかし、「グレーは黒」ですから、白を目指して取り組むのが当社です。
日本に比べて、アメリカはこうした研究に取り組ことは早い、確かアスベストも、日本国内での最初は米軍基地での使用が規制されて始まったのだと記憶しています。
同じように、このホルムアルデヒドの発生量を削減、ゼロにはなりませんが、約半減したレジンが今から約20年前にアメリカで開発されました。
しかしながら、そのレジンでは、産業機械部品、自動車部品といった高い寸法精度を要求されるものに実用できるほどの強度が出せず、実用化に至っていないレベルでした。その時点で、当社はこの技術をアメリカより購入しました。
アメリカで開発された、オリジナル技術を当社が日本のレジンメーカーと共同で開発し、その技術を産業レベルにまで引き上げました。アメリカでは、現状も産業レベルにはなっていません。
初期購入費用(モノになるかもわからない、その後(現在)もライセンス料を支払い)、そして海外運賃(現状も加工前のオリジナルレジンは米国から購入)等を考えると、技術的には産業レベルでも、コスト的には産業レベルでなくなってしまうことも良くある話です。
しかし、それでもグレーは黒の発想で開発に挑みました。
国は規制していない、ルールも無い、でも社員さんの健康と近隣の皆様へのご迷惑を考えるのであれば、グレーは黒です。
近隣の皆様へのご迷惑、フェノールが燃える時発生するのはホルムアルデヒドだけでなく、アンモニアも発生するので、健康的にはグレーでも、環境(臭気)的には完全に黒なのです。
故に、実用化に踏み切りました。
でも、神様はいます。
社会(人類)や社員さんのためにと思う心は利他です。
利他とは、布施の心です。
この布施の心が働くとき、必ず神のご加護(奇跡)は起こる。
やはり奇跡が起きました。少し長くなったので、その辺りは、明日のブログで。
今日も良い1日でありますように
社長 松原 史尚
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